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05/19 (月) 20:14更新

[松本秀夫さん]働き盛りに重なった介護

[Hideo Matsumoto] Caring for the elderly during the prime of his working life
ヨミドクター
読売オンラインからのご依頼

『介護実況、それはナイスゲームならず ~アナウンサー松本秀夫、母と駆け抜けた7年間~』

「私の介護はちっともナイスゲームじゃない。スタンドからヤジを飛ばされるようなひどい試合でした」

プロ野球実況でおなじみのアナウンサー松本秀夫さん(56)が、7年間介護した母・喜美子さん(享年76)との日々。40代の働き盛りに重なった介護の苦闘と、今も残る後悔、そして母への想いを語ります。

母の異変、そして迷路のような日々

1999年秋、母の胆石症手術後から気力は戻らず「死にたい」と訴え入院。松本さんは多忙な実況の仕事の合間を縫い病院に連れて行きましたが、「うつ状態」「認知症」など診断は異なり、まさに迷路のようでした。弟が介護保険手続きを進めデイサービスに通うも、便失禁も始まり、祖母による老々介護では限界でした。

「俺が治してやる」意気込みと現実の壁

2006年、母との同居を決意。「俺が治してやる」と意気込みましたが、自身の家庭問題から「介護に逃げた部分もあった」と振り返ります。職場に伝え出張を減らし、訪問介護も利用。当初は改善の兆しも見えましたが、奇声や失禁は増え、実況中に母から「まだ帰ってこないの」と電話がかかることも。

ストレス、焦り、そして痛恨の一打

ストレスで酒量が増え、実況にも影響。ある夜、「眠れない」と何度も起こしに来る母に「やめてくれって言ってるじゃないか!」と怒鳴り、腕を叩いてしまいました。ケアマネジャーから「このままだと2人ともぼろぼろになる」と指摘され、母が「私が悪かったから」と決して自分を責めなかった言葉が、逆に胸にこたえたと言います。ショートステイを頻繁に利用するようになりました。

特養入所、そして早すぎる別れ

2012年、特別養護老人ホームに入所。しかし翌年、大腿骨骨折を機に衰弱が進み、母は帰らぬ人に。「ここからまた元気に」と思っていた矢先のことで、信じられなかったといいます。亡きがらに寄り添いながら「母が『眠れない』と言った夜、照れを乗り越えても添い寝してあげればよかった」と、今も後悔の念は尽きません。

📌この記事から見えるもの

  • 働き盛りの世代が直面する、仕事と介護の両立の厳しさ。

  • 介護保険やデイサービス、ショートステイなどの介護サービスの利用実態。

  • 介護者の精神的ストレス、孤立、そして時に起こりうる虐待のリスク。

  • 「もっとこうすれば」という介護経験者が抱えやすい後悔の念。

💡読者が考えさせられるポイント

  • 介護は一人で抱え込まず、専門家や周囲に助けを求めることの重要性。

  • 介護者自身の心身の健康を保つことの必要性。

  • 「理想の介護」と「現実の介護」のギャップにどう向き合うか。

  • 後悔を減らすために、今、大切な人にできることは何か。

「母と同居したことは間違いでなかったと、今も思っています」—苦闘と後悔の中にも、母への深い愛情が滲む、松本さんの7年間の物語です。


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