テスト胃がん手術後
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神経内科専門医・老年科専門医
【胃がん手術後の食事ガイド】
~栄養をしっかり摂るためのポイント~------------------------------------------------------------------
■胃がんと食事の関係
~手術後の食生活の基本を知る~
1.胃の役割と胃がんが食生活に与える影響
2.胃がん手術後に起こる主な食事トラブル
・体重減少と栄養不足
・ダンピング症候群
・消化不良と腹部膨満感
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■胃がん手術後の食事トラブル対策 【症状別】
1.体重減少と栄養不足への対策
・体重減少対策
1.高カロリーな食材を活用
2.高タンパクな食材を活用
・栄養不足対策
1.少量でも栄養価を高める食材を活用
2.ダンピング症候群の症状と対策
1.ダンピング症候群の症状
・早期ダンピング症候群の症状
・後期ダンピング症候群の症状
2.ダンピング症候群への対策
・食事の工夫
・生活習慣の工夫
3.消化不良・腹部膨満感への対策
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■胃がん手術後の食事のポイント【手術後の経過時期別】
1.手術直後~退院後の食事(0~3か月)
2.退院後~半年の食事(3~6か月)
3.6か月以降の食事~通常食への移行
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■ 胃がん手術後でも食べやすい食材や調理法
1.消化に良いおすすめの食材
2.食欲不振のときの食べ方の工夫
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■まとめ
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(リード文)
「胃がん手術後の食事で気をつけることは?」そんな不安を抱えていませんか?
この記事では、医学的根拠に基づいた適切な食事のポイントを「症状別」「手術後の経過時期別」に分けて解説していきます。
正しい知識を身につけることで、食事へのストレスが減り、少しでも快適に、穏やかに過ごしていただける一助となれば幸いです。
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胃がんと食事の関係~手術後の食生活の基本を知る~
胃がんは、食生活と深い関わりのある病気です。
胃は、食べ物を消化し、必要な栄養素を体に吸収する重要な器官ですが、がんが進行するとその働きが大きく損なわれます。また、手術や治療の影響で食事のとり方にも工夫が必要になります。ここでは、胃の役割や胃がん手術後に起こる食事トラブルについて解説します。
1.胃の役割と胃がんが食生活に与える影響
胃は、食べ物を一時的に貯蔵し、胃液を分泌して消化を助ける重要な器官です。
また、体に必要な栄養素を適切に取り込む役割を果たします。しかし、胃がんが進行すると、胃の粘膜が傷つき、消化機能が低下します。さらに、胃がんの治療として胃の一部または全体を切除する手術を受けると、消化機能が大幅に低下し、食事のとり方に工夫が必要になります。
胃の消化機能が低下すると、栄養素不足により、貧血や体力の低下、免疫力の低下が起こりやすくなり、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
2.胃がん手術後に起こる主な食事トラブル
胃がんの手術後、多くの患者が食事に関するトラブルを経験します。
その中でも特に多いトラブルが以下の3つとなります。
・体重減少と栄養不足
・ダンピング症候群
・消化不良
ここでは胃がん手術後の主な食事トラブルについて解説していきます。
・体重減少と栄養不足
胃がんの手術後は食事の摂取量が減少し、体重が大幅に落ちることがあります。
特に、胃を全摘(すべて切除)した場合は食べる量が制限され、十分なエネルギーや栄養を摂取することが難しくなります。体重が落ちすぎると、体力が低下し、日常生活に支障をきたすこともでてきます。
・ダンピング症候群
胃の手術後、食べ物が急速に小腸に送り込まれることで起こるトラブルを「ダンピング症候群」といいます。食後30分以内に起こる「早期ダンピング」と、食後2~3時間後に起こる「後期ダンピング」の2種類があります。
早期ダンピング:めまいや動悸、吐き気が起こりやすい
後期ダンピング:血糖値の急激な変動により、冷や汗や手の震えなどの低血糖症状が見られます。
・消化不良と腹部膨満感
胃の切除により、食べ物の消化が不十分になりやすく、特に脂肪分の多い食事を摂ると消化不良が起こりやすくなります。これにより、腹部の膨満感や下痢、腹痛などの症状が現れることがあります。
胃がん手術後の食事トラブル対策【症状別】
ここでは前章でお話ししました胃がん手術後の代表的な食事トラブルに対する具体的な対策を解説していきます。
1.体重減少と栄養不足への対策
胃がんの手術後の体重減少は体力を奪い、生活の質を低下させる要因となるため、少量でも効率よくエネルギーを摂取する工夫が必要です。
体重減少対策
1.高カロリーな食材を活用:オリーブオイルやごま油、バターを適量加える。はちみつやジャムをヨーグルトやパンに添える。
2.高タンパクな食材を活用:豆腐や納豆、鶏ささみ、白身魚、卵を食事に取り入れる。
プロテインやミルクをスープに加える。
栄養不足対策
1.少量でも栄養価を高める食材を活用
・タンパク質:肉・魚・豆類など(→筋力低下を防ぐ食材)
・ビタミンB12:レバー・貝類・卵など(→貧血を防ぐために食材)
・鉄分:赤身肉・ほうれん草など(→エネルギー不足を防ぐ食材)
・カルシウム:乳製品・小魚など(→骨の健康を維持する食材)
その他にも、高カロリー・高タンパクの飲料やゼリータイプの栄養食品、消化の良いプロテインパウダーなどが栄養補助食品として役立ちます。
また、一度に多くの食事を摂れないため、食事の回数を1日5~6回の小分けにすることで、一度に食べる負担を軽減できます。
例えば、朝食・昼食・夕食のほかに、間食としてプリンやチーズ、ナッツなどを摂ると、無理なくカロリーとタンパク質を補えます。
さらに、食べやすい形に工夫することも大切です。例えば、具材を細かく刻んだスープやとろみをつけた料理は、飲み込みやすく消化にも優れています。
このように、食材の特長を意識し、工夫しながら、少しでも快適な食事の時間を過ごしましょう。
2.ダンピング症候群の症状と対策
ダンピング症候群は、胃を部分的または全摘出した後に起こる症候群で、食べたものが急速に小腸へ流れ込むことでさまざまな症状を引き起こします。
特に胃がんの手術後に発生しやすく、適切な食事と生活習慣の調整で症状を軽減することができます。食生活の工夫が症状緩和への鍵となります。
1.ダンピング症候群の症状
ダンピング症候群は食後30分以内におこる「早期ダンピング症候群」と食後2~3時間後におこる「後期ダンピング症候群」の2種類に分類されます。
【早期ダンピング症候群の症状】
・めまい、動悸
・吐き気、腹痛
・冷や汗、倦怠感
・下痢
【後期ダンピング症候群の症状】
・低血糖によるふるえ
・異常な発汗
・強い空腹感
・集中力の低下
2.ダンピング症候群への対策
【食事の工夫】
・少量ずつ、回数を増やして食べる(1日5~6回)
・糖質の多い食事を避ける(特に砂糖や白米)
・食事中の水分摂取を控え、食後30分以上あける
・よく噛んで、ゆっくり食べる
【生活習慣の工夫】
・食後すぐに横にならず、上半身を少し起こして休む
・血糖値を安定させるため、食後の軽い運動を取り入れる
3.消化不良・腹部膨満感への対策
胃がんの手術後、多くの人が消化不良や腹部膨満感を経験します。
ここでは消化不良・腹部膨満感症状を軽減する対処法をご紹介します。
1. 少量ずつ回数を増やして食べる:胃の容量が小さくなるため、1回の食事量を減らし、1日5~6回に分けて食べることで、胃への負担を軽減できます。
2. よく噛んでゆっくり食べる:消化を助けるために、一口ずつよく噛み、時間をかけて食べることが大切です。
3. 消化の良い食品を選ぶ:脂肪分の多い食品や繊維質の多い野菜は消化に時間がかかるため、胃に負担をかけることがあります。白身魚、豆腐、柔らかく煮た野菜など、消化の良い食品を中心に選びましょう。
4. 食事中の水分摂取を控える:食事中に大量の水分をとると、消化液が薄まり、消化不良を引き起こしやすくなります。水分は食事の30分前後に摂るようにしましょう。
5. 食後の過ごし方に注意する:食後すぐに横になると、胃の中の食べ物がスムーズに腸へ送られず、膨満感の原因になります。食後は上半身を少し起こして休憩するのが理想的です。
胃がん手術後の食事のポイント【手術後の経過時期別】
胃がん手術後、胃が小さくなったり、消化機能が変化したりするため、時期ごとに適切な食事を選び、無理なく栄養を摂る工夫が必要になります。
ここでは「手術直後~退院後」「退院後~半年」「6か月以降」と段階を追って、おすすめの食事につてご紹介していきます。
1.手術直後~退院後の食事(0~3か月)。
手術直後から退院後3か月までは、消化の良い食材を選び、小分けにして食べることが大切です。最初の1~2週間は流動食中心で、重湯やスープ、ゼリーなどが推奨されます。その後、胃の負担にならないよう、柔らかく調理した食材を少量ずつ食べるようにします。
この時期のポイントは、「消化の良い食材を選ぶ」「1回の食事量を減らし、回数を増やす」ことです。1日5~6回の小分け食を基本とし、胃に負担をかけないようにします。
お粥や豆腐、白身魚などは消化が良く、取り入れやすい食材です。
また、よく噛んでゆっくり食べることも大切です。
無理にたくさん食べようとせず、体調を見ながら食事を進めていきましょう。
2.退院後~半年の食事(3~6か月)
手術後3か月を過ぎると、少しずつ通常食に近づけることができます。
ただし、急に普通の食事に戻すと消化不良や体調不良を引き起こす可能性があるため、慎重に進めましょう。この時期は「食材のバリエーションを増やしながら、胃に負担をかけない工夫」が重要になります。
軟飯や柔らかいご飯に切り替え、食材の種類も増やしていきます。
鶏肉や豚肉の赤身など、少しずつタンパク質の選択肢を広げると良いでしょう。野菜も生野菜ではなく、よく茹でたり蒸したりして消化しやすい形に調理します。
食事の回数は引き続き1日5回程度を目安にし、少量ずつ食べることを心がけます。
栄養バランスを考えながら、体調を見つつ食事を調整することが大切です。
3. 6か月以降の食事~通常食への移行
手術後6か月が経過すると、多くの人が通常の食事に近づけることができるようになります。しかし、完全に元の食事に戻るのではなく、消化の負担を考えた工夫が必要です。
食事の回数を1日3~4回に減らしながら、食材や調理法の選択肢を広げていきます。
揚げ物や脂っこいもの、刺激の強いものはまだ控えめにし、少しずつ試しながら自分の体に合った食べ方を見つけることが大切です。また、アルコールやカフェインも控えめにし、体調を見ながら取り入れましょう。
胃がん手術後でも食べやすい食材や調理法
胃がんの手術後は、適切な食材選びと調理法を工夫することで、無理なく栄養を摂取し、快適な食事の時間を過ごすことができます。ここでは、体に優しく消化しやすい食材やおすすめの調理法をご紹介していきます。
1.消化に良いおすすめの食材
胃がん手術後の食事では、消化器への負担を減らしつつ、必要な栄養を確保することが重要です。特に、脂肪分の多い食事や刺激の強い食品は避け、柔らかく消化しやすい食材を選ぶことがポイントになります。
[消化に良い食材の主なもの]
・主食類:おかゆ、軟飯、うどん、そうめん、食パン(耳を取り除いたもの)
・タンパク質:豆腐、白身魚(タラ、カレイなど)、鶏ささみ、卵(茶碗蒸しや半熟卵)
・野菜類:じゃがいも、にんじん、大根、かぼちゃ(すりつぶしたり、煮込んだもの)
・果物類:バナナ、リンゴ(すりおろしやコンポートにすると食べやすい)
・乳製品:ヨーグルト(無糖・低脂肪)、カッテージチーズ
・飲み物:麦茶、薄めたほうじ茶、すりおろしリンゴジュース
食材を調理する際は、できるだけ柔らかく煮る・すりつぶす・細かく刻むといった工夫をし、胃への負担軽減を意識してみてください。
2.食欲不振のときの食べ方の工夫
胃がんの手術後、食欲がわかない日が増えることもあります。
無理に食べようとするとかえってストレスになり、食事が苦痛になってしまうこともあります。そんなときは、食事を楽しむ工夫を取り入れてみましょう。
まず、彩りを意識した盛り付けや、お気に入りの器を使うことで、視覚的に食欲を刺激できます。たとえば、鮮やかな野菜を添えたり、カラフルなスムージーを取り入れたりするのも効果的です。また、家族と一緒に食卓を囲むことで、リラックスした雰囲気になり、自然と食が進むこともあります。
次に、食べやすい調理法を取り入れましょう。
例えば、以下のような方法がおすすめです。
・柔らかく調理:野菜や肉は煮込んで柔らかくし、消化しやすい状態にする。
・温度に気をつける:冷たすぎるものや熱すぎるものは避け、適温で提供する。
・香りを活かす:レモンや生姜、ハーブを使って風味を加えると、食欲がわきやすい。
また、無理に3食しっかり食べる必要はありません。
食べたいときに、食べられるものを少しずつ摂ることで、負担なく栄養を補うことができます。
まとめ
胃がん手術後の食事は、体の回復と生活の質を維持するためにとても重要です。
無理をせず、自分の体調に合わせた食事を心がけることで、少しずつ食べられるものが増えていきます。食事は「義務」ではなく、「楽しむもの」と考えながら、無理のない範囲での工夫を心がけてみてはいかがでしょうか。
また、困ったときは医師や管理栄養士に相談してみることもおすすめです。
この記事が少しでもみなさんのお役にたてれば幸いです。
監修:管理栄養士●●●
企画構成:Life Star 編集部